**お正月** 一月一日 楽しい声が飛び交う。 「涼さん、私、稲さん・・・・その他」コタツに入り福原と芭月が年賀状をわけてる昼の一時。 日本の正月らしく炬燵の上にはミカンと三段おせち、熱いお茶を啜りながらTVでは「おめでとう ございます」と挨拶するレポーターの声。 昨夜はNHK紅白を見て友人と除夜の鐘をつき、港で初日の出を拝んでから昼間まで寝る。まったく見本のような正しい日本の正月の過し方だ。 今年の冬は暖冬と近所のおばちゃん達が言っていたがハズレたようだ。 昨日の夜から雪が降り始めて寒い。芭月の家には暖房機具は炬燵のみなのにもかかわらず彼は半袖白シャツしか着ない青年だ。武道家の家とは日常生活までもが厳しい修行の場と言えよう。 「涼さん、明美さんからです。」 「明美さん?」 明美とはバー「ヨコスカ」のかなり色っぽい美人ホステス。密かに福原は彼女に思いを寄せているがなかなか世の中上手くは行かない…切ない片思い。進展無く良い人止り。良い人は最後まで良い人で終わる。好みと良い人は違う。 高校生に何故ホステスから年賀葉書など送られるのか? 彼はとんでもない やりて高校生・・・ではない。ドブ板の町は子供頃から親しみ過ぎて自分の庭のようである。ほとんどの人は芭月を知っている。何も悪い事が出来ないほどに知っている。 「いいな〜ぁ」と福原は言った。 「何が?」 「年賀状ですよ。明美さんからだ〜ぁ」羨ましそうになかなか芭月に渡そうとしない。 「回想!!!夜遅くなって酔って ジャワ―を浴びた後、そうだわ・・年賀状書かなきゃって一文字 一文字心をこめて書いたのかな?」と葉書の字を見ながら声色まで演技をしてしまう大人気無い福原に芭月は聞かれても答え様が無いって顔で「そんな事 俺に言われても・・・」 「シャンプーの香りがぁ少し残ってる?」衝動的に葉書の匂いを嗅ぐ、手書きのようだが それは印刷だ!。インキの臭いがしてもシャンプーの臭いなぞするわけがない!この男は臭覚まで病んでるのか! 「福さん…そ、その葉書あげるよ」と100歩引いて悲しい顔で俯いた。 その言葉を聞いた福原は「マジすかー」と嬉しさ胸いっぱいになって白い歯をのぞかせ葉書に見入る。忘れてはいけない!それは芭月 涼と書いてあるのだから彼へ来た年賀状だ!恋の病は軽いのから重いものまであるが彼は手遅れなほどに病んでいる。正月だけではなく おめでたい男である。 また、何事も無かったの様に葉書配りの続きをはじめた。 「はい 原崎さんから」 ピンクで可愛い十二支が手を繋ぎ輪になって真中に午が笑ってる年賀葉書だ。つられて芭月も午のように笑った。 何時も会ってるがこう改まって年賀状送られるのも恥ずかしながら嬉しい。 「また涼さんだ」と渡された。 「あっ・・・・き、貴章だぁ」墨で事務的挨拶が長々と書いてある。 個人的な感情が1つもない。 ・・・・・ そんなこんなんで葉書を配っていたら、ガラガラと玄関先から音がした。 「誰か来たみたいですね。」と福原がすーっと立ち上がって部屋を出た。 部屋から出たら直に玄関で福原と聞き覚えのある声がしたかと思うと「陳って方が聞きたい事があるそうです」。 陳、陳と言えば、そう彼しかいない。 クリスマスの忙しい時期から(前のお話の続きvv)一週間過ぎていないのに、聞きたい事って何だろう?と重い腰を上げた。 玄関先で貴章が仁王立ちして両手に白い紙袋を持っている。 正月の挨拶回りだろうか?挨拶とはマメな男だ。商売はマメでなければいけない。 彼は顔を見るなり言った。 「年賀状届いたか!」 「ああ・・」 「そうか、じゃ芭月!お前は俺に出したのか?」と聞いた。 え? 突然な質問に面喰って口に手をあてて「・・・書いたと〜」あやふやな返事に「どっちだ!出したか!出さなかったのか!」と強い口調で再び聞いた。 「出したと・・・・思う」と顎に手をあて首を傾げる。 やはりハッキリしない様子に貴章の吊目が益々吊上がり、もたもたする芭月に「出したんだな!」と再度、念を押した。 迷うに迷うて「ああ ・・・出した。出した!」と言い切った。 それを聞いて「そうか」そう言って両手の重そうな紙袋をドンと芭月達の前に置いた。 その紙袋に何が入ってるのかと2人は覗き見たら中身は年賀状だ! 年賀状の枚数は個人ではこれほど送られはしないだろう。 その年賀状の束を袋から出しその場で手早く8つにわけ ・・・案の定、貴章は言った。 「捜せ」 なぜ自分が出した葉書を捜さなきゃいけないんだ!! 正月早々玄関でやりあう気はないし黙々と黙って捜し始めた。 捜しながらも俺・・書いたかなぁ 年賀状・・・書いた?どうだろう?いつも持ち歩いてる『心のメモ』には記録していない。メモにはその時の決意とか胸に秘めた思いなどを忘れない様に書き留めているが葉書を投函した事までは書いてない。 果して書いたかどうか?? 自問自答し続けた。書いたって言ったし 違ったってなったらコイツ怒るだろうなぁ。と不安でますます太い眉毛が八の字なる。自信がない自信がないから占いなどに凝るのだ。ご存知の方は知っているが占いの館「ラピス」の常連でもある。 別に出しても、出さなくってもいいじゃないかぁ そう!それが正しいのだ!芭月はチラっと横目で貴章を見た。難しそうな顔で一枚一枚見ている。丹念に見ている。彼は「どうでもいいじゃないか」って考えが通る相手ではないと顔色を見るなり直感した。確実にヤバイ!間違い無く罵られる!「出した」と言ったからにはここから責めて来るのは想像がつく。もう、300枚は見た…ふっと自分は何をしているのか?と思う長く重い空気が流れて1時間後必死の捜索かいあって福原が声を上げた。 「涼さんありました!ありましたよぉ!!」と左手で高々と一枚の葉書を上げた。 「!!!!!」 2人はその葉書を食入るように見た。貴章は驚き、芭月は勝利のガッツポーズをとった。 馬の芋版が可愛い。芋が押してあるだけのシンプルな年賀葉書だ。 ちょっと天狗な芭月は「ほら!送ってるよ」と貴章の肩をポンと叩き、「ふん!こんな汚い字が読めるか」とその手を払除けた。 「何だよ それはぁ〜出したんだから喜べよ」 「これは何だ?」 「午だぁ!うま!」 そんな2人にオドオドする福原に後からお手伝いさんの稲が二人の間に入って「玄関では冷えますし、お話も長いようですから上がって暖かいお茶でもいかがですか?」と言ったら「いいえ、私は事が済みましたから、これで失礼します」と言って相変らず無愛想でさっさと出ていった。 福原と芭月は玄関で呆然と立っていた。 ・・・・・ 「涼さん・・・」 「何?」 「今の・・・・お友達?」 「・・・・・」 いったいなんだろう?また正月早々迷路に迷い込んでしまった芭月でした。 |
**貴章VS怪盗あや** 「あそこには お宝がある!下見は1度で充分だ!今夜 決行!」 月が天高く昇り 人影がこっちらへやってくる。ピタピタピタ。 ピタ・・・歩を止め、辺りを見廻し見上げると8の文字が大きな扉に書いてある。 「8番倉庫。ここだ!ここにあるんだわさ〜ぁ」とあやはニヤリと笑った。 そそくさと中に入った。 在るは在るはお宝が!背中のリュックを置いた。リュックに入れて持って帰るのは数がしれてる。 倉庫の中で一番手頃な大きさ!そして価値だ。この中では香炉だ。棚から箱を取り出した。品と箱とは壱対だが嵩張るので中身を出し、布で2個をグルグル巻にしてリュックに入れた。そして腕に壷を抱えて倉庫から出ようとしたら 「誰だ!」 しまった! また アイツか!警備は手薄だと思ったがコイツを忘れていた!貴章だ。 くそ!マッド・エンジェルスの人に帰宅時間を聞けば良かった! どないしょう・・・・バクバクと心臓がなった。捕まる!今、後を向いたらアイツが立っている!くそ〜う!ここまでか! 「芭月か?」 「え?」 「何をやっている」 貴章は気性がマジメなのか信じられないほど長い間、アポを取った芭月を待っていたらしく冷静な判断が出来ずに倉庫に入った私を芭月だと思い込んでる様だ。 あやは咄嗟に鼻を摘んで「ぢょど・・・借りてもいいか?」と芭月少年に成りすました。 そしたら 「だめだーぁ」そう言ってカンカンと貴章が階段を降りる音がした! うわ〜!音だけでビビって逃げた。あやはしっかりリュックと壷を持って! 「こらーぁ」後から聞える! 「待て〜ぇ」と追いかけてくる! 待てぃと言って待つ馬鹿がどこにいるんだ!捕まったら最後だ!狭い垣根もなんのその、屋根伝いまで走り!飛び移り! まんまと撒いてやった。 芭月には悪いが小躍りしながらアジトへ帰った。 盗賊仲間に この上等な高価な品を見せたら 「バーカ 偽物だよ!偽物!こんな国宝級が そこいらに在るわけがない!まして港の倉庫だぞ!返して来い!あほう」と散々言われた。苦心惨憺盗って来たのに! 違うんだって本物だってと言っても信じてもらえそうもなく、ガク―っと肩を落した。また、倉庫に戻ったら あやちゃんボコボコってなるのは見えてるし、芭月武館の門の前に置いて惜しみながら帰った。 そして しばらくして、そこへ坂を上がりながら貴章と芭月がやってきた。 「返せ!壷返せ!」 「んなの 知らない!何言ってるんだよ!」と言ってふっと2人は芭月の家の門に目をやると、何やら ポツンと3個置いてある。 貴章は見るなり走ってそれを確かめ「芭月ー!!!!」と叫んで睨んだ。 芭月少年は何の事やら 何故 俺んちに置いてあるのか?まったく分らず貴章のお小言を長―く聞く事になったのである まる |
**貴章VS刀** (オマケ・芭月 涼) 陳の倉庫にて〜 「あやが言っていた通りだぜ。お宝、お宝」青磁の壷に手を伸ばしたレンだが、直に貴章に見つかってしまった。 彼は倉庫の見張り兼電話番。 「レン!お前の事だコレを金にする気だな!壷をそこに置いて倉庫から出ろ!」とレンの腕を掴んで言った 「いいじゃね〜かぁ こんなにあるんだから一個ぐれ〜よぉ!」「さぁ!置いて出て行け!お前には到底分るはずもない品物だ!」と2人は揉合いになった。レンの手から滑って青磁の壷がガシャンと6つに割れた 「あらら・・・割れちまった」 「レン!!!コレがどういう事なのか分ってるのかぁ!貴重な美術品がこの世から今、消えてしまった!」 「てめぇが悪いんだろ!素直に渡しときゃ割れずにすんだのによぉ!」 「ゆるさん!」 「ココでやるってのか?」 貴章は構えて闘う意思を表した。 レンは納得したかのように頷いて「よ〜し!・・・お前にまかせた」と芭月の肩をポンとたたいた。 「何で俺が!」 「いくぞ!」貴章は相手は芭月だろうがレンだろうが掛かって来るヤツは皆、敵だという考えらしい。 「うりゃ!」と芭月から先手を打ち 貴章は「ほほ〜う 中国で多少は腕を上げたな芭月!」と少し笑みを浮かべた。 「チンタラ、チンタラしてるんじゃねぇ!さっさとたたんじまえ!」 「うるさい!黙ってろ!」と精神を集中し、腰に重心を落し上段突きの芭月の連攻撃に「お前いつからレンの手下になったんだ?」と攻撃を上受けし、同時に蹴り返した。 「何やってるんだ?力抜いてるんじゃね!一気にかたをつけろ!」レンの野次が飛んだ。 「お人よしもいいところだ!レンみたいな悪を信用しているのか!」 「何やってるんだ〜ぁ!ったく〜クソボケがぁ!」 ブチブチブチ!!!!!! ばっこ〜ん・・・・・と芭月は2人をたたんじゃいましたとさ。まる |
**貴章VSラーメン屋あや** 町の中は春一番の風が吹き荒れているある日の事です。 ガラスごしの暖かな日差しの中をペンを走らす音だけが部屋の中で響くそんな静かな昼の一時に・・・ 「へーい おまち〜ぃ」 突然 ノックもしないで入って来たラーメン屋のあやが貴章デスク上にラーメンの岡持をドンと前に置いた。 「なんだ?」 面喰ったかのようにあやを見て「俺は出前を注文していない」 あやは白い歯を出して笑いながら、「へ?1番、2番、3番・・・。ここ8番ね。へい!お待ち!」 「ここは8番倉庫だが、旧8番倉庫だ。聞き間違っているぞ」とムッとして睨んだ。 そう、港の表に新倉庫街があり、時々慣れないと間違って奥の旧倉庫街へと届けられる事は少なくない。 「おかしいね。1番、2番、3番・・・。8番倉庫の陳さんね」と瞳丸く、アヒル口になって言うあやに「何!確かにココは旧倉庫街は陳だが俺はラーメンを注文した覚えはない!おかしいのはお前だ!持って帰れ!」と怒りで持ってるペンを握り締めて言った。 それでも、あやは平然として「おかしいあるよ。ラーメン ラーメン ラーメン」と繰り返し言いては落ち着きが無い様子で事務所の狭い部屋を岡持を持ってウロウロしていた。 言葉が通じないのだろうか?「一体、何を言っているんだ?出口はあちだ!さっさと出て行け!」とドアの方を指差して大声で怒鳴った。 「何を騒いでいるのですか?貴章」と隣室から 父、陳 耀文が姿をみせ そして 椅子に腰を下ろした。 「あっ 父さん。この、あやしい女が・・・・」と貴章の話の途中で「あ〜助かったぁ。陳さ〜んココまで来るのに車で30分かかるのをカブで10分、飛ばして来たんス!何スか・・・この人が訳の分らない事を言うもんで伸びちゃいますよぉ。ったく!」 「き、貴様!!!ちゃんと話せるのかぁ!」貴章は真っ赤な顔になって叫んだ。驚きで次の言葉が出てこなかった。 「これ!貴章。何ですか!アルバイトの味壱の人ですよ。美味しいと噂で注文したが、無礼な事を言ったようですまない」 味壱の店員の王さんは中国へ里帰りで臨時であやが働いているそうだ。 「・・・」黙って貴章は疑いの鋭い眼で納得が出来ないでいる。 「ほい!ラーメンの味が落ちるちゃうぞ!豚骨ラーメン2つ!へ〜い。お待ち!」と威勢よくラーメンを岡持から出して耀文の座ってる方のテーブルに置いた。「ほほほほほ、まったくそうですな。ほほほほほほほ」耀文は笑った。 「待ってください!父さん!この者ただものではありません!得体の知れない者が持ってきた物など何が入ってるかわかりません!食べてはダメです」 「勝手に言ってろい!味壱のラーメンは絶品だからな。爺さん旨過ぎてぶっ倒れるなよ!食ったら倉庫の入口でも出してくれ!後で取りに来るからよ!じゃ ご注文ありがとございやした!」とあやは事務所を台風の様に出ていきました。 「な!なんなんだ!」 「ほほほほほほっ ちゃかりと店の宣伝までして行きよった。少し伸びたかもしれませんが昼食にしましょう」と貴章を見て微笑んだ。 少し父の顔をじっと見て「・・・・・そうですね」とデスクから離れて父の向い側の椅子に静かに座り 耀文は「何年ぶりでしょう。2人で向い合って食事をするのは?」と聞いた。 また静かな時間が流れ、湯気が躍り立つラーメンを見て「そうですね。何年ぶりでしょうか?」しばし黙り込み言葉をを続けた「仕事に追われて己を見失う、休息時間を自ら作らなければいけないって事ですか?父さん」と俯いてぼそりと言った。 「ん?これは…美味しいぞ。偽りなしだ。さぁ」とニコニコと暖かな春の日差しの中で優しく笑顔で手を差し伸べてる父に「・・・・はい」と貴章はこたえた。 自分は父に見守られている。この春の日差し似た幸福感。 心の中で こんな時間が何時まで続くのだろうという不安が過った。それを消すかのようにラーメンを食べた。 ずずずず・・・ 「うぐ!」 口に含んだ瞬間 吐いた。 味を味わう暇もないぐらい早く、体の方が危険を感じて咄嗟に吐出したのだ。 貴章はその場に倒れ込んだ。 その貴章のラーメンだけ乳白色のスープだが中には赤と青のピッキ−ヌの山盛りをコト細かく切り刻み。鷹の爪。隠し味にタバスコを調合し、色を誤魔化すために花粉症に良いとされてるヨーグルト、ココナッツミルク、生クリームと微妙な甘さのブレンド、和風味も必要と八方味噌、薄口醤油と減塩にも気を使い、あやの特別製スープだった。 鼻は真っ赤になり、涙眼で「ぐほっ…あの女 ゆるさん!」打倒 あや!と誓った。 |
**白雪姫** 「鏡よ、鏡。この世でお金持ちで美しい女はだ〜れ?」 鏡は答えました。 「それーは〜ぁ。レン・ママです」 「おほほほほほほほほほほ!たまのこしに乗ったからな〜ぁ金には不自由しないぜ!」 「しか〜し」と鏡は言葉を続けた。「しか〜し。この世で美しく強いのは芭月姫です」 「げっ あのバカがか!俺より強くなる前に始末をつけないと・・・おい!」と手下を呼んだ。 「あいつを亡き者にしろ!ゆけ」 手下は 芭月をゲーセンへ遊ぼうと言って森へ連れていって殺そうと思ったが 手下の方が殺されそうになった。 「言え!誰の命令で俺の命を狙った!」「く、苦しい〜レンおきさき様です」 「何!レン・ママが・・・ヤバイな。このままでは大勢で俺を狙ってくる。森の奥へ隠れよう」といって芭月は迷える森の奥へ奥へ・・・・・案の定 マジで迷った。 「何所なんだ・・・ここは?腹へったな・・・・24時間トマトマートもないし。」 暗闇をトボトボひたすら前へ前へと進むとぼんやり灯りらしき物が見えてきた。 芭月姫はその灯りをたよりに喜び勇んで歩き出し、その灯りが民家だと知ると走り出した。 「は〜ぁは〜ぁ」ドンドン「こんばんわ!誰かいますか?こんばんわ!留守ですか?」と乱暴にガチャガチャとノブを回すので壊れてとれた。 「あっ・・・・まっいいか・・・」芭月姫は中へ入って。食べ物をたらふく食べて眠った。 夜も深くなる頃に 「ハイ〜ホ〜!ハイ〜ホ〜!ハイホ ハイホ♪」と歌う声が森の奥から聞え段々こちらに向ってくる。その声は貴章と6人の仲間であった。仕事から帰ってきたのだ。 「何だ!ドアが壊されている!」 「何だ!大きな足跡が!」 「何だ!冷蔵庫がグチャグチャに食べ散らかして!」「これは一体!」 貴章は指差して「熊だ」 指の先にはデカデカとふんずりかえって おおいびきで寝てる芭月姫だった。 次の朝、 芭月姫は7人の小人達の前に座っていた。 「事情はわかった・・・しかし、働かず者 食うべからず!お前に家事一切をまかせる事にしょう」そう言って貴章とその仲間達はお宝を掘りに行った。 芭月姫は不器用だあったがしだいに慣れてきて料理、洗濯、掃除と上手にこなすようになった。 ある日 レン・ママが不思議な鏡の前へ立ち再び聞いた 「鏡よ、鏡。この世でお金持ちで美しい女はだ〜れ?」 鏡は答えました。 「それーは〜ぁ。レン・ママです」 「おほほほほほほほほほほ!たまのこしに乗ったからな〜ぁ金には不自由はしないぜ!」 「しか〜し」と鏡は言葉を続けた。「しか〜し。この世で美しく強いのは森の奥の奥、迷える森の7人の小人の家に棲む芭月姫です」 「げっ あのバカ!まだ 生きていたのか!俺より強くなる前に俺の手で始末をつけないと・・・」そう言って林檎売りのお婆さんに化けました。 籠には山のように真っ赤な林檎が入ってその中の一個だけ毒林檎が混ざってました。 その林檎だけ どの林檎よりも美味しく見えました。 「り〜んご〜おおおおお おいしいよ! リンゴ うまかばってん!食ってみちょ〜よ」と言って小人の家のドアをノックした。 「リンゴ売りですか?」 「美味しいよ」 「知らない人から買ってはいけないと貴章に言われたから…」 「ゴホゴホ…この林檎はワシがたんせいこめて作ったんじゃ。全部とは言わん!1つだけでも買ってはもらえんかのう」とお婆さんは言いました。 ドアの隙間から見ていると お年寄りがこんな山奥まで売りに来るのは よほど世の中が不景気なのだろうと思いました。 「お婆さん 一個 買います。これからも美味しい林檎を作ってください」と自然に一番真っ赤な美味しそうな林檎に手が伸びました。そして ボリボリボリボリとほとんど食べた後 芭月は林檎のようにコロっとその場に倒れてしまいました。 「やった!」レン・ママはお城へ喜び勇んで帰っていきました。 何も知らないで7人の小人が帰ってくると 家には暖かな明かりも何もない異変に気がついた頃には姫はっでっかい体が横倒れていました。そのまま放置していると腐敗するので 直ぐにガラスの棺桶に入れて庭にでも埋めようかと思ったが 予想よりも 深い穴を掘らなければなりませんでした。 一日掘って 2日掘って 3日掘って・・・ 季節は半分過ぎてしまいましたが 姫の体は腐るどころか 不思議な事に生きていた時と変わらない美しい姿で眠っていました。 小人達と貴章は「掘るのはやめよう!時間の無駄だ!」だんだん苦労してまで掘る事に馬鹿らしくなって投げてしまいました。 そんな ある日 ポッカラ ポッカラ と黒服が中に入った馬に乗って藍帝王子様が通りかかりました。 「うむ?」 「どうなされましたか?」 顎で指示をするとその先に 何か棺のような物が置いてあります。 馬は それへ近づいて しゃがみ、そして 馬以外の黒服がどこからか現れ棺桶のガラスを開けました。 そうすると 美しい芭月姫がぐ〜すかと眠っているではありませんか。 でも よくみると遺体で生きてはいません。亡骸に藍帝は惜しむかのように言いました。 「生きていれば さぞかし名のある強い姫になっていただろうに・・・」と言って藍帝王子様は嘆きました。 また 王子は顎で黒服に指示をしたら 以心伝心かのように王子の指示にしたがって ボンボコとくろ服達が大きな穴を掘りまして棺をその穴に収めました。 「名も無き姫よ・・・ゆっくりと眠るがいい・・」優しい王子はちゃんと埋めてあげましたとさ めでたし めだたし・・・って その後、ゾンビのごとく芭月は彼らに復習を誓う事になるのですが・・・また 次回 お話できればと思います。読んでいただいてありがとう〜♪ |